こんにちは!カン太郎です!今回はコンクリートの打設前試験にスポットを当てていきたいと思います。ポンプ車での打設は見たことあっても試験見たことないって言う人もいるのではないでしょうか。ちょっと地味な記事にはなりますが、よろしくお願いします。
コンクリート試験とは?
コンクリートは水、セメント、骨材、混和剤の配合で出来ています。
そしてその配合は決められていて、現場の求める強度などによって少しずつ変わります。とはいえ、現場では運搬されてきた生コンが固まるまではその強度が本当に出ているのか分かりません。
そのためコンクリートは打設が行われる度に試験を行なっています。
試験は第三者によって行われ、打設前のコンクリートの状態を確認し、供試体を採取します。
採取した供試体を一定の期間を置いたのちに圧縮試験を行います。
一般的に試験では、スランプ、空気量、温度、塩化物濃度を測定していきます。
このときに供試体を採取しておき、一定の期間養生を行ったのちに圧縮試験を行い確かな強度が出ているのか確認をしていきます。
採取の頻度については、普通コンクリートであれば150㎥以内毎に1回の受入検査が必要になります。また、強度推定は適当な間隔を置いて任意に選んだ3台の生コン車から抜き取り、供試体の作成を行います。
ここからはスランプ等各試験の要素について、写真を用いて説明していきます。
全体写真
これが試験が終わったあとに現場監督が記録として残す写真になります。
右側に写っているのは監理者です。このときは配筋検査が重なっていたため、コンクリートの方も確認してもらいました。
施工者(僕)の立会いのみのことの方が多いですが、監理者がいるときは一緒に入ってもらった方が良いかと思います。(施主は監理者がいた方が信頼度が上がる。監理者はしっかり監理してましたよという施主への示しになるので。)
一見施工者には関係なさそうですが、この辺りのうまい関係を築くのは、現場運営において相当重要になります。まだペーペーの僕にはそこまで関係ないのですが、、、
ここからは写真に示した各試験の要素について説明していきます。
スランプ
スランプ試験は、主にコンクリートのワーカビリティを見るために行います。
ワーカビリティとは直訳すると施工性、つまり施工がやりやすいかどうかということです。打設はコンクリートが柔らかければ柔らかいほど、鉄筋の隙間を縫って充填されやすくなります。しかし柔らかいと言うことは水分量が多く、十分な強度が出ない可能性を示唆しています。(水分量を増やさず、ワーカビリティを高める混和剤がありますが、ここでは趣旨とズレるため割愛します。)
そのため、施工しやすい硬さかつ、十分な強度発現の確認のためにスランプ試験を行います。
スランプ試験は試験用のコーンにコンクリートを詰めていき、垂直に持ち上げたときのコンクリートの高さを0.5cm単位で測定します。基準値の±2.5cmが許容範囲になります。建築工事で使われる一般的なコンクリートがスランプ18cmなことを踏まえると、15.5cm〜20.5cmか許容範囲となります。
コンクリート担当者をしていると、作業員から『コンクリート固い!もっと柔らかくして!』とよく言われてコンクリート工場に電話することがあると思いますが、その際には試験でこの値をよく確認するようにしましょう。
僕の現場ではありませんが、スランプの小さいガチガチのコンクリートをそのまま打設した現場があり、型枠解体時にコンクリートの充填多数見つかったため、その日に打設していたコンクリート全てを、ウォータージェットという僕も見たことの無いクソ高いを使ってはつり取るという重大な問題に発展しました。
空気量
空気量は一般的に4.5%±1.5%が許容値になります。簡単に説明すると、空気量が多いと強度が下がり、空気量が少ないと耐久性が下がります。
建築を短期的に見れば空気量は少なく、長期的に見れば空気量は多くする。
ジレンマな話ですが、それのちょうどよいところを取ったのが、4.5%であったりする基準の値になるので、現場監督はその値に沿って管理を行います。
温度
コンクリート温度の規定は基本的に5〜35℃の間で管理を行います。
温度が低過ぎると硬化が始まらなかったり、高すぎても硬化が早すぎてひび割れや、そもそもの施工に影響を与えます。
レンジが広いので、僕の現場でも試験に落ちたことは無いのですが、夏冬はギリギリまでいくので少し気にかけておくとよいかと思います。
塩化物含有量
塩化物含有量は原則0.30kg/m3以下に抑えます。
塩化物の量が多いと鉄筋と化学反応を起こして鉄筋を腐食させてしまいます。であるので理想を言えば0としたいところです。しかし塩化物は自然界に広く存在し、水道の水にも含まれています。
そのためできる限り少なくという基準で定められた値が0.3というわけです。
供試体
供試体は150㎥以内毎に1ロット3本必要になります。
適当な間隔を空けて採取する必要があるので、その日の打設が生コン車30台分なのであれば、1台目、11台目、21台目という具合にです。
供試体の本数ですが、28日後に潰しを行い呼び強度が出ているかの確認を行う1本があれば、法律的には問題ありません。
ですが、型枠の関係を急ぐなどの理由で強度確認が必要になる場合は、その他に数本とっておくこともあります。
このときの打設の場合は、基礎型枠の脱型を2日後に行う必要があったので、翌日の夕方に圧縮試験を行い5Nが出ているのを確認するための供試体もう1本でした。
まとめ
今回はコンクリート試験の流れを現場視点でお話してきました。この写真を3回、ときには6回撮影する必要があります。
実際の施工時の話をすると、打設前に生コン工場と試験屋さんには電話や口頭で伝えておき自分は打設の現地や他の仕事をします。あとは試験が終わり次第電話で呼び出してもらい、記事にも残した記録写真を撮ってもらいます。
なのでスランプコーンや他の機材の使い方はそんなによく知りません。実際には研修の際に数度やっているのですが、普段からやらないと覚えませんよね。
まあ僕の仕事はちゃんとしたコンクリートが納入されているか確認することなので、その辺りは割り切っています。と言った感じで少しリアルの話もできたところで今日は終わりたいと思います。
それではまた!!